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いまから200年ほど前、ナポレオン戦争の時代、ナポレオンが率いるフランス帝国軍と戦う、カール・フォン・クラウゼヴィッツというプロセイン帝国(現ドイツ)の将校がいた。ナポレオン軍の圧倒的な強さに幾度となく挫折しながらも、遂にはイギリス・オランダ連合軍と共に、クラウゼヴィッツが属するプロセイン軍はフランス軍を打ち破る。

その後、ベルリン士官学校校長に任命されたクラウゼヴィッツは、病に倒れるまでの12年間で「戦争論」の原稿を書き残した。そして、彼の亡き後、妻であるマリー夫人とオ・エッツェル中佐の手によって編集され、1832年に「戦争論」が発行されたのである。

「方法」ではなく「本質」を知る

クラウゼヴィッツの「戦争論」がそれまでの戦争や戦略に対する見識と大きく異なったのは、「戦争」そのものの本質を体系的にまとめたところにある。

それまでは「どうやって相手に勝つか」「どのような戦略・戦術が優れているのか」「どのような武器が適切なのか」などということが話題の中心にあった。あるいは戦争による大きな悲劇が起こると、ややもすれば「戦争は起こしてはならない」「戦争は悲しみを生む」など、結果に対して人々の心が奪われてしまっていた。

しかし「戦争論」では、「戦争とはそもそも何なのか」「戦争はどのように起こるのか」「戦争はどのように終結するのか」などを、理論的にかつ体系的にまとめあげている。そして、そこからは人々が争いを起こす本質を読み取ることができる。

これは現代における「市場競争」においても、同じ事が当てはまるだろう。つまり「どうやって競合他社に勝つか」「どのようなマーケティング戦略がすぐれているのか」「どのような販促ツールが適切なのか」ということを考えることに終始してしまい、「市場競争」の本質から目を背けているのではないか、ということである。

クラウゼヴィッツの「戦争論」から戦争の本質を理解することで、現代の「市場競争」の本質に迫ることができるだろう。本質を知った上でその方法について考えることができれば、結果的に、本質を知らない者よりも適切に方法を利用することができるはずである。



About 古市 大三

ダイゾーコンサルティング株式会社 代表取締役。日本経営士会認定 経営士、WACA認定 ウェブ解析士マスター、および経済産業省認定 応用情報技術者。7年の在米生活を経て、帰国後に起業。WEBデザイナー兼ディレクターを経て、WEBコンサルタントに転向。現在は戦略経営コンサルタントとして活動。その他、セミナー講師やウェブ解析士認定講座の講師も務める。