どのような市場においても、事業者が価値を提供し顧客が対価を支払う限りは「販売」という行為が成立する。また、競合他社が存在しない場合でも、顧客に対して価値を提供し対価を受け取る限りは、市場が存在する。しかし、市場競争の成立には不十分である。

市場競争の成立には、「複数の商品」の存在と「販売意志」が必要になる。しかし、事業者は複数存在する必要はない。

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一つの商品と販売意志

市場に一つしか商品が存在していない状態、つまり顧客にとって選択肢がなく、その商品を提供する者に販売意志がある場合は、独占市場となる。この状態では市場競争が存在しておらず、販売意志に伴った販売が行われるのみで市場が存在しうる。また、販売意志が無くなった場合、市場独占者の意志のみで市場を潜在的な状態への開放、つまり潜在的市場への変容が可能となる。

市場で競争が行われないので、販売に販売促進活動を伴う必要がない。しかし、マーケティングを行わなければ、販売意志に反して販売が成立しない場合がある。つまり、顧客が対価を払うという判断をしかねる商品のみが市場に存在している場合は、市場も潜在的な状態から脱することができない。マーケティングは、市場を潜在的な状態(潜在的市場)から顕在的な状態(顕在的市場)と変化させるために必要なのである。

単一事業者による複数の商品と販売意志

市場に複数(二つ以上)の商品が存在し、それぞれに販売意志が伴っている場合、市場競争が成立する。しかし、事業者は同一であっても市場競争が行われる場合があることに注意しなければならない。これは、事業者が販売における対価を最大化させたいという意図が伴うからである。

代表的な例を挙げると、市場を独占している事業者が同一の顧客に対して複数の商品を提案するような場合である。選択肢が一つしか無い場合は、対価を支払うか否かの二者択一になってしまう。そして顧客が対価を支払わないことを決定した場合には、販売の機会損失が起こる。これを避けるため、言い換えれば対価を得る可能性を最大化するため、事業者は選択肢を増やすのである。

複数の商品は、互いに販売機会を巡って対立する。事業者は、顧客の意志を明確に理解できない限りは、複数の商品の販売促進行為を行う必要がある。逆に、顧客の意志が明確になった場合、あるいは複数の商品に対する販売意志が消失した場合は、事業者による販売促進行為が行われない。つまり、複数の商品が存在し、複数の販売意志が存在する限りは、市場を独占する事業者の中で商品の市場競争が成立する。

複数事業者による複数の商品と販売意志

市場に複数の事業者が存在し、複数の商品の販売意志が存在する場合、市場競争が行われることは明白である。各事業者は、互いに販売が成立する可能性を高めるため、マーケティングを行い、販売促進活動を行い、営業力を行使しながら販売を行う。

また、販売によって得られる対価が、市場で販売意志を示し続けることに十分でない限りは、その商品あるいは事業者は市場競争から撤退せざるをえないだろう。この市場からの撤退によって、他の商品の市場競争が緩和される。その競争の緩和によって、市場内で商品の新陳代謝が行われ、顧客にとって健全な市場が維持されるのである。



About 古市 大三

ダイゾーコンサルティング株式会社 代表取締役。日本経営士会認定 経営士、WACA認定 ウェブ解析士マスター、および経済産業省認定 応用情報技術者。7年の在米生活を経て、帰国後に起業。WEBデザイナー兼ディレクターを経て、WEBコンサルタントに転向。現在は戦略経営コンサルタントとして活動。その他、セミナー講師やウェブ解析士認定講座の講師も務める。