ファイブフォース分析とは、マイケル・ポーターが提唱する「5つの競争要因」における「新規参入者の脅威」「供給者(売り手)の交渉力」「購買者(買い手)の交渉力」「代替製品/サービスの脅威」「既存企業の敵対関係」という5つの競争圧力(フォース)の概念を利用した外部環境から業界構造を分析する手法である。「5つの競争要因分析」「5F分析(ごえふぶんせき)」「五力分析(ごりきぶせき)」などとも呼ばれる。

なお「5F」と記述した場合、「F」が頭文字につく5つの単語で構成されると誤解される場合があるため、「ファイブフォース分析」または「5つの競争要因分析」と呼称するのが望ましい。

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ファイブフォース分析の概要

1979年に、ハーバード・ビジネス・レビュー誌1979年3月号に掲載されたポーター著「How Competitive Forces Shape Strategy(どのように競争圧力が戦略を形成するのか)」という論文に、「5つの競争要因」が初めて登場した。そこでの図のタイトルは「Forces governing competition in an industry(産業内の競争を支配する力)」と記されている。

1980年に、マイケル・ポーター著「Competitive Strategy(競争戦略)」が出版され、その2年後に日本語訳として「競争の戦略」というタイトルで出版された。その日本語版に登場する図に「5つの競争要因」というタイトルが付けられたため、日本ではその呼び名で定着している。なお、海外では「Porter’s five forces(ポーターの5つの力)」と呼ばれる。

ファイブフォース分析から導くことのできる戦略

ファイブフォース分析は、業界構造を分析するための手法である。この分析結果から導かれる戦略オプションとしては、それぞれの競争要因で防衛できる地位を築くため、攻撃または防御の方法を決定することになる。

つまり、ファイブフォース分析から導かれる戦略は、戦略着点を達成するために「特定の競争要因」について「どのように攻めるか」または「どのように守るか」という形式で表現される。

5つの競争要因の構成要素

ファイブフォース分析(5つの競争要因分析)は、「新規参入者の脅威」「供給者(売り手)の交渉力」「購買者(買い手)の交渉力」「代替製品/サービスの脅威」「既存企業の敵対関係」の5つの要素で説明される。

また、それらの5つの競争圧力は「脅威」「交渉圧力」「敵対関係」の3つに分類することができる。

5つの競争要因

脅威

「新規参入者の脅威」と「代替製品/サービスの脅威」が脅威としての競争圧力である。これらの脅威は、環境の変化で常に引き起こされる可能性を秘めており、場合によっては競争市場そのものが大きく書き換えられ消滅することもある。

新規参入者の脅威

「新規参入者の脅威」とは、敵対する競合他社が増加することによる競争圧力である。市場に参入者が増加すると、商品やサービスの供給量が増加し、限られた需要を多くの競合と奪い合うことになる。競争が激化することで、価格競争やサービス競争が生じ、経営資源を消耗することになる。

代替製品/サービスの脅威

「代替製品/サービスの脅威」とは、既存商品と同じ役割を果たすことができる代替製品やサービスによる競争圧力である。新しい技術やまったく異なるサービスによって、購買者のニーズが満たされてしまう場合、既存の商品やサービスが一気に陳腐化してしまい市場の占有率が低下する。また、革新技術によるコスト構造の変化によって、大きな値崩れが起きる場合がある。

交渉圧力

「供給者(売り手)の交渉力」と「購買者(買い手)の交渉力」が、市場競争における交渉圧力である。交渉力の強い側が利益を最大化するように行動し、交渉力の弱い側がコストを負担することになる。

供給者(売り手)の交渉力

「供給者(売り手)の交渉力」とは、商品の原材料などの供給者による交渉圧力である。生産工程の上流にある材料が起床であったり、供給業者自体の数が少ない場合、購買側の選択肢が大きく制限されてしまう。そのため、売り手である原材料の供給業者の競争力が強くなることで、調達コストが上昇し競争力の低下を招いてしまう。

購買者(買い手)の交渉力

「購買者(買い手)の交渉力」とは、商品やサービスを享受する購買者側からの交渉圧力である。買い手の数が限られていたり、特定業者にしか納品できないような製品を扱っている場合、売り先が限定されてしまう。そのため、買い手である購買者の交渉力が高まり、商品を買いたたかれるようなことが起こる。

敵対関係

「既存企業の敵対関係」とは、市場内の競争の激しさを表している。既存の企業はお互いに同じ顧客を奪い合うことになり、敵対的に競争を続けなければならない。市場が成熟し、お互いに差別化が難しい場合には、激しい値引き競争が起きたり、過剰なサービス競争やプロモーション合戦が起こる。それらの互いの競争圧力によって、互いの経営資源を消耗し合うことになる。



About 古市 大三

ダイゾーコンサルティング株式会社 代表取締役。日本経営士会認定 経営士、WACA認定 ウェブ解析士マスター、および経済産業省認定 応用情報技術者。7年の在米生活を経て、帰国後に起業。WEBデザイナー兼ディレクターを経て、WEBコンサルタントに転向。現在は戦略経営コンサルタントとして活動。その他、セミナー講師やウェブ解析士認定講座の講師も務める。