SWOT分析(すうぉっとぶんせき、SWOT analysis)とは、「SWOTマトリクス」と呼ばれるフレームワークを利用した分析手法のことである。「SWOTマトリクス」は「目標達成のために助けになる/妨げになる」軸と「内外部要因」軸という二軸によってビジネス環境を分類する。それぞれの要素は「Strengths(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」のいずれかに分類される。

この分析手法は、戦略立案方法として使用することはできない。SWOT分析は、作戦行動中の状況分析に使用されるのが一般的であり、状況をふまえた戦略オプションの立案や戦略策定に関しては「TOWSマトリクス」を使用する。「TOWSマトリクス」は、日本では「クロスSWOT」とも呼ばれ、4種類の戦略を立案することができる。

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SWOTマトリクスの概要

SWOTマトリクスとTOWSマトリクス(クロスSWOT)による戦略策定については、ヘンリー・ミンツバーグの提唱する戦略の10学派における「デザイン・スクール」に分類される。SWOTマトリクスと同様の概念は、SWOTマトリクスの登場以前から存在していたが、1960年代にスタンフォード研究所(Stanford Research Institute)のアルバート・ハンフリーによって発展を遂げたといわれている。

SWOTマトリクスの軸

SWOTマトリクスには2つの軸があり、ビジネス環境をそれらの軸に対して分類する。横軸には「目標を達成するために助けになる(Helpful)」要素と「目標を達成するために妨げになる(Harmful)」要素を取り、縦軸には「組織構造に由来する内部要因」と「環境特性に由来する外部要因」を取る。

それらの軸同士が交差している場所に、通称として「Strengths(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の4つを割り振っている。つまり、「Strengths(強み)」という概念が存在しているわけではなく、「目標を達成するために助けになる組織構造に由来する内部要因」をわかりやすく「強み」と呼んでいるのである。

SWOTマトリクス

SWOT分析を行うための前提

SWOTマトリクスを活用したSWOT分析の前提としては、「目標」の存在が不可欠となる。ビジネス環境にまつわる様々な事柄を分類するためには、その判断基準として「目標」が何であるか明確になっていなければならない。なお「目標」が明確になっていない場合は、SWOT分析の参加者それぞれの判断基準がバラバラになってしまい、まったく役に立たない分析結果が導かれる。

作戦目標の再認識

「目標」については、一般的に戦略策定後の作戦戦略における作戦目標を指している。つまりSWOT分析を行う時点では、すでに戦略が策定されており、作戦行動として戦略遂行を行っている最中ということである。もし、目標が明確になっていなければ、SWOT分析を行う前に戦略着点の再確認と、それに伴う目標の明確化が必要である。

よって、作戦目標を共有しないまま「まず自社のSWOT分析をやってみよう」というような経営者やコンサルタントがいるとすれば、意図的に本来の使い方を避けていると考えられる。

SWOT分析を行うタイミング

作戦目標がSWOT分析の基準となる性質のため、SWOTマトリクスとTOWSマトリクス(クロスSWOT)による戦略策定は、何もない状態から新規に策定するのには適していない。SWOTマトリクスを使った分析を行う最初のプロセスとして、分析の参加者全員が、同一の作戦目標を認識していなければならない。

SWOT分析の参加者

SWOT分析の参加者については、事業戦略全体を把握している人物が望ましい。事業戦略とそれぞれの作戦戦略の関連性を認識したうえで、作戦目標の役割を理解していなければ、適切なSWOT分析を行うことはできない。

SWOT分析における4つの要素

SWOT分析では、SWOTマトリクスを使ってビジネス環境を4つに分類することができる。

  • 目標達成の助けになる内部要因:Strengths(強み)
  • 目標達成の妨げになる内部要因:Weaknesses(弱み)
  • 目標達成の助けになる外部要因:Opportunities(機会)
  • 目標達成の妨げになる外部要因:Threats(脅威)

目標達成の「助けになる(Helpful)」か「妨げになる(Harmful)」のいずれになるかは、戦略着点や作戦目標が何であるかに依存する。例えば、ある事業での市場占有率の拡大が目標である場合、法的な規制緩和が行われると、新規参入を目論んでいる企業にとっては参入障壁が下がるので「Opportunities(機会)」となり、既存の企業にとっては競合が増えることに繋がるので「Threats(脅威)」になる。

利用者がSWOTマトリクスに慣れていない状況で、「強みは何か?」という問いに答えようとすると正確な分析が出来ない場合が多い。よって、SWOT分析が習熟するまでは「強み」という略称を用いず、「目標達成の助けになる内部要因」などの本来の略していない表現でSWOTマトリクスにプロットすることが望ましい。

代表的な内部要因

ヒト・モノ・カネ・チエなどに代表される経営資源の4要素や、生産の4M、マーケティングの4Pなどが挙げられる。内部要因をより精緻に洗い出すためのフレームワークとしては、RBV(リソース・ベースド・ビュー)やVRIOフレームワークによるVRIO分析、価値連鎖(バリューチェーン)などが存在する。

代表的な外部要因

流行の変化、文化、災害、法改正、社会経済、金融情勢など、個人や法人がコントロールすることが出来ない要素が挙げられる。外部要因をより精緻に洗い出すためのフレームワークとしては、5つの競争要因による業界構造の分析(ファイブフォース分析)や、PESTフレームワークによるPEST分析などが存在する。

SWOTマトリクスから派生したTOWSマトリクス

SWOTマトリクスから派生した分析フレームワークの中で、最も代表的なものは「TOWSマトリクス」であり、日本では「クロスSWOT」という呼び方で普及している。「TOWSマトリクス」はSWOTマトリクスによる分析結果を、さらにクロス分析することで4つの戦略を導く手法である。

「TOWSマトリクス(クロスSWOT)」による分析や戦略策定も、SWOT分析と同様に戦略遂行中の創発的戦略策定や目標変更に適している。




About 古市 大三

ダイゾーコンサルティング株式会社 代表取締役。日本経営士会認定 経営士、WACA認定 ウェブ解析士マスター、および経済産業省認定 応用情報技術者。7年の在米生活を経て、帰国後に起業。WEBデザイナー兼ディレクターを経て、WEBコンサルタントに転向。現在は戦略経営コンサルタントとして活動。その他、セミナー講師やウェブ解析士認定講座の講師も務める。